スウェーデン災害救助犬チャンピオンシップ
     JKC海外視察派遣詳細報告




1.派遣についての概略
 須山担当理事を団長としてJKC災害救助犬委員会のメンバーを含めた総勢10名で
 9月の19日から25日まで視察を行い、チャンピオンシップ、訓練場視察など、ハー
 ドなスケジュールではあったが全員無事に帰国できました。

2.スウェーデンのレスキュードッグについて
 大会前日、スウェーデン・ワーキング・ドッグ・アソシエーション(SBK)の
 SVEN WERGARD氏よりレスキュードッグなどについて、懇切丁寧な解説が
 あった。

 (1)スウェーデン800万国民のうち25万人がスウェーデン・ケネルクラブ会員で
    あり、その中でもワーキングドッグクラブはブロック18に300の支部があり
    最も大きい組織として6万人の会員を擁し、現在活動しているとのこと。

    バックアップ母体の政府からは年間予算として2億5千万円がケネルクラブに付
    与され、その内1億5千万円がワーキングドッグクラブに支給されている。
    これは取りも直さず、政府、軍隊、消防、レスキュードッグが一体となって有事
    や災害に対処する仕組みになっているからである。

    アメリカのFEMA(連邦緊急事態管理庁)にならって、日本でも遅ればせなが
    ら阪神淡路大震災を契機に危機管理対策室が設置されたが、諸外国と較べても後
    れをとっている点は否めない。

 (2)クラブの活動としてローカルクラブに3千人のインストラクターがおり、その上
    にティーチャーがいて指導しているのだが、毎年15人ぐらいのティーチャーを
    養成している。主に以下の活動を行っている。
    @ドッグオーナーのトレーニング
     主として初心者を対象として年間2万人の教育を実施しているが、犬を飼育し
     ていない会員も大部いるということだった。
    Aコンペティッション
     競技会の開催
    Bブリードディベロップメント
     繁殖者の開拓、指導
    Cボランタリー ディヘンス
     民間自治防衛
 (3)スウェーデンには現在350頭のレスキュードッグがおり、毎年70〜100頭
    前後の認定犬が新たに加わると言うことだが、実働に6年しか使えないという
    考えであった。
    又年2回のファンクションテスト(レスキュードッグとしての性能、能力が維持
    されているかどうか)を実施しているのも大変重要な事であると認識した。
    その為の施設が全国8カ所に点在し、内4カ所は消防と共同使用の施設ではある
    が、近くに施設があり随時練習できる環境はすばらしいと思った。
    何事もいざ!という時の備えは大切である。

 (4)海外からレスキュードッグの派遣要請が来たときは、40頭のレスキューチーム
    の中から上記ファンクションテストの結果によって、一番ベストなチームを選考
    するのだが、約1週間の派遣中の休業補償もなされるということだった。

 (5)2003年にはデンマークと共催でIROワールド・チャンピオンシップが7月
    にFREDERIKSSUNDで開催される。スウェーデンのレスキュードッグ
    のレベルは高く、前年の世界大会で3席に入賞したとのこと。