災害救助犬認定試験課目・競技大会課目に関する規程
          (改正 2013年3月25日)  改正部分は青色表示







第1章総則

第1条 この規程は、定款第28条(4)により、災害救助犬認定試験課目
 (以下「試験課目」という)・災害救助犬競技大会課目(以下「競技課目」という)
 について定める。

第2章 認定試験・競技大会課目

(認定試験A)

第2条 災害救助犬認定試験Aにおける課目の種類と実施要領は次のとおりとする。

(1)試験課目の種類。

<服従作業課目>
1.紐付き脚側行進(レスキューシューズ着用)(往復常歩)。
2.紐無し脚側行進(往路常歩・復路速歩)。
3.据座及び遠隔操作による招呼。
4.前進。
5.渡橋。
6.シーソー。
7.トンネル。
8.瓦礫歩行。
9.休止及び銃声確固性。

<実地作業課目>
1.告知テスト。
2.瓦礫捜索。
 (1)擬似遭難者の正確な発見(1名以上3名以内)。
 (2)犬の自主性及び捜索態度。
 (3)犬の環境への順応性。
 (4)指導手の適切な捜索態度。
 (5)指定された4っの障害(隠れ場所)の捜索。

(2)服従作業課目の実施要領。

l.紐付き脚側行進(レスキューシューズ着用)(往復常歩)。
 ヘルパー2名により、犬にレスキューシューズをはかせる。レスキューシューズを履かせた犬
 を、所定の位置に脚側停座させる。試験委員の指示により、指導手と犬は15mの直線コースを
 常歩脚側行進で往復する。その他の要領は、2.紐無し脚側行進に準じる。

2.紐無し脚側行進(往路常歩・復路速歩)。
 引き紐は犬の首輪からはずして、指導手の肩にかける。出発点で、犬に脚側停座させる。試験
 委員の指示により、コの字型で45m(一辺15m)のコースを、往路は常歩、復路は速歩で行う。
 復路に移行する際に折り返し点では、とどまることなく右回り、又は左回り(指導手は左回り、
 犬は右回りすることを言う)のどちらかで、とどまることなく折り返し、出発点に戻ったら、
 右回り、又は左回りして来た方向に向かって止まり、犬を脚側停座させて終わるが、この時に
 犬が命じられることなく、自主的に脚側停座する。全般を通して指導手は、姿勢を正しく保ち、
 声視符の指示は少ないほど良いものとする。声視符の乱用や誘導的な指導手の態度は、その程
 度に応じて減点される。

3.据座及び遠隔操作による招呼。
 犬を所定の位置に脚側停座させる。試験委員の指示により、指導手は犬に『マテ』を命じて、
 常歩で犬から15m前方に行き、犬と対面直立する。約30秒経過後、試験委員の指示により、犬
 を招呼し、中間点において犬に『マテ』を命じ、停止させる。試験委員の指示により、再度招
 呼を行い、脚側停座させる。

4.前進。
 犬を所定の位置に脚側停座させる。試験委員の指示により、規定位置(前方約15m)へ犬を前
 進させ、犬が到達したら停止させ、試験委員の指示があってから、指導手は犬を招呼する。呼
 ばれた犬は脚側停座に付くか、又は対面停座後、脚側停座させる。

5.渡橋。
 幅約30cm、長さ2m以上、高さ90cm以上の橋で、両側に傾斜した昇降板を付けたものを用い、
 犬を渡らせるものである。
 犬を所定の位置(渡橋の登り口より、3m離れた地″点)に脚側停座させる。試験委員の指示に
 より、指導手と犬は常歩脚側行進で渡橋登り口に進み、指導手は渡るように命じる。犬は単独
 で渡る。ほぼ中央で指導手は犬を停止させ、その場から犬を抱え下ろして、脚側停座させる。

6.シーソー。
 幅約30cm、長さ3m以上、高さ約45cmのシーソーを用い、犬を渡らせるものである。(シーソ
 ー状のものであれば代用品でも差し支えない)
 犬を所定の位置(シーソーの登り口より、3m離れた地点)に脚側停座させる。試験委員の指
 示により、指導手と犬は常歩脚側行進でシーソーの登り口に進み、指導手は犬に命じて、犬を
 単独で渡らせる。渡り終えたら、指導手は犬を脚側に付け、常歩で出発点に戻り、脚側停座さ
 せる。

7.トンネル。
 内径約60cm、長さ3m以上の直線の固形トンネルを用い、犬を通過させるものである。
 (トンネル状のものであれば代用品でも差し支えない)
 犬を所定の位置(トンネルの入口より3m離れた地点)に脚側停座させる。試験委員の指示に
 より、指導手と犬は常歩脚側行進でトンネルの入口に進み、指導手は犬に命じて、 トンネルを
 通過させる。通過させた後、指導手は出口で犬を脚側に付け、常歩で出発点に戻り、脚側停座
 させる。

8.瓦礫歩行。
 広さ約2㎡の広さに板金、金属片、金網、ブロック、木、その他を放置する。犬を所定の位置
 (瓦礫の入口より3m離れた地点)に脚側停座させる。試験委員の指示により、犬と指導手は
 脚側行進で瓦礫の上を往復歩き、復路にて、途中命令なく犬は、瓦礫の中で脚側停座する。そ
 の後、試験委員の指示により再度行進を行い、所定の位置に戻り、脚側停座させる。

9.休止及び銃声確固性。
 試験委員に指示された位置で脚側停座させる。指示によって犬に休止(腰を横にくずした伏せ
 の姿勢)を命じて、指導手は指示された場所に隠れる。約3分経過後、銃声確固性テスト(銃
 声2発)を行う。休止開始から約5分経過後、試験委員の指示があってから、犬のもとへ戻り、
 指示によって、脚側停座させる。

(3)実地作業課目の実施要領。

1.告知テスト。
 告知テストは、一人の擬似遭難者を、犬が自主的に告知することができるかを判断することを
 目的とする。なお、告知は『吠える』行為のみとし、その他の行為は認められない。
 指導手と犬は、告知管の前方約10mの地点(10mの地点には印を設ける。)から認定試験委員
 (以下「試験委員」という。)の指示により捜索を直ちに開始できる状態で待機する。
 擬似遭難者は、試験委員の指示により、告知管の蓋を開け、中に隠れるところを犬に示しなが
 ら隠れる。擬似遭難者が隠れ終えた時点で、試験委員の指示により、指導手は犬のみを告知管
 に送り出す。(声符と視符を同時に行うことは許可される。)この際、首輪や引き綱を付けたま
 ま捜索を開始した場合は、その時点で捜索を中止する。犬は自主的に告知しなければならない。
 告知管から漂っている臭いの範囲内のどこで告知しても良いが、より、擬似遭難者の近くで告
 知することが望ましい。犬が告知した後、試験委員の指示により、指導手は犬の元へ行き(こ
 の際、指導手は犬に触れて軽く褒めても良い。)脚側停座を命じ、引き綱を付け捜索を終了す
 る。
 告知テストの捜索時間は3分間とし、その間に犬が告知できない場合は、捜索を中止する。
 なお、捜索開始時以外での告知の誘導は、許可されない。

2.瓦礫捜索。
 指導手と犬は、試験委員の指示により、捜索を開始する。(声符と視符を同時に行なうことは
 許可される。)この際、首輪や引き綱を付けたまま捜索を開始した場合は、その時点で捜索を
 中止する。犬は、隠れ場所のいずれかに潜伏している擬似遭難者を正確に告知する。なお、告
 知は『吠える』行為のみとし、その他の行為は認められない。捜索を行なう際は、どの隠れ場
 所から捜索を行なっても良い。ただし、指導手は歩行エリア外に出てはならない。犬に対する
 隠れ場所の指示は、歩行エリア内からのみとし、隠れ場所内への追従も認めない。(小型犬(体
 高35cm以下)の場合は、試験委員が認めた場合、隠れ場所内での補助を許可する。)試験委員
 の許可なく、指導手が隠れ場所への追従を行なった際は、その時点で捜索を中止する。犬が告
 知した場合は、指導手は試験委員に申告し、指示により、指導手は告知箇所に行く。この際、
 指導手は犬に触れて軽く褒めても良い。告知は、擬似遭難者に近いほど良い。犬の再発進は、
 その場所からできるが、発進後、指導手は速やかに歩行エリアに戻る。隠れ場所の捜索は、制
 限時間内であれば、何度でも同じ場所を捜索できる。ただし、擬似遭難者の早期発見・告知を
 理想とする。犬が危険区域へ逸脱した際は、呼び戻して直ちに戻った場合は減点とし、捜索の
 続行はされるが、呼び戻しがきかない場合は、捜索を中止する。捜索時間は10分間とし、制限
 時間内に全ての捜索が終わらなかった場合は、その時点で終了とし、評価もそこまでの内容で
 行なう。
 捜索時においては、犬の自主性、積極性、捜索意欲を重んじることとし、他の隠れ場所に送り
 出す指示は許されるが、声視符の過度の使用は減点とする。犬の捜索態度で捜索意欲が見られ
 ない場合は、試験委員の判断により作業を中止する。

3.作業中、次の誘惑要因を起用する。
 ①発炎筒。
 ②音響機器による騒音。
 ③捜索エリアにおける誘惑者









(競技大会A-1)

第3条 災害救助犬競技大会競技A-1における課目の種類と実施要領は次のとおりとする。

(1)試験課目の種類。

<服従作業課目>
 1.紐無し脚側行進(往路常歩・復路速歩)。
 2.据座及び遠隔操作による招呼・立止・伏臥。
 3.前進。
 4.渡橋。
 5.シーソー。
 6.トンネル。
 7.瓦礫歩行。
 8.休止及び銃声確固性。

<実地作業課目>
1.瓦礫捜索。
 (1)擬似遭難者の正確な発見(3名以上)。
 (2)犬の自主性及び捜索態度。
 (3)犬の環境への順応性。
 (4)指導手の適切な捜索態度。

(2)服従作業課目の実施要領。

  服従作業は審査員の評価公評で終了する。

1.紐無し脚側行進(往路は常歩・復路は速歩)。
 引き紐は犬の首輪からはずして、指導手の肩にかけるか、指定の位置に置く。出発点で、犬に
 脚側停座させる。指示により、コの字型で45m(一辺15m)のコースを、往路は常歩、復路は
 速歩で行う。往路脚側行進中に2発の銃声が放たれる。復路に移行する際に折り返し点では、
 とどまることなく右回り、又は左回り(指導手は左回り、犬は右回りすることを言う)のどち
 らかで折り返し、出発点に戻ったら、右回り、又は左回りして来た方向に向かって止まり、犬
 を脚側停座させて終わるが、この時に犬が命じられることなく、自主的に脚側停座する。

2.据座及び遠隔操作による招呼・立止・伏臥。
 犬を所定の位置に脚側停座させる。指示により、指導手は犬に『マテ』を命じて、犬の20m前
 方で対面し、約30秒後、指示により、犬を招呼し、中間点において犬に立止を命じ、さらに指
 示により、伏臥を命じる。再度指示により、犬を招呼し、脚側停座させる。

3.前進。
 犬を所定の位置に脚側停座させる。指示により、規定位置(前方約15m)へ犬を前進させ、犬
 が到達したら停止させ、指示により、指導手は犬を招呼する。犬は直接脚側停座するか、また
 は指導手の直前に一旦対面停座してから、脚側停座させる。

4.渡橋。
 幅約30cm、長さ2m以上、高さ90cm以上の橋で、両側に傾斜した昇降板を付けたものを用い、
 犬を渡らせるものである。
 犬を所定の位置(橋の登り口より、3m離れた地点)に脚側停座させる。指示により、指導手
 と犬は常歩脚側行進で渡橋登り口に進み、指導手は登り口に止まり、犬に渡るよう命じ、犬は
 単独で渡り始める。ほぼ中央で指導手は犬を停止させ、指示により、犬のもとに行きその場所
 から犬を抱え下ろして、脚側停座させる。この作業を行えない場合は、この課目は中止とする。

5.シーソー。
 幅約30cm、長さ3m以上、高さ約45cmのシーソーを用い、犬を渡らせるものである。(シーソ
 ー状のものであれば代用品でも差し支えない)
 犬を所定の位置(シーソーの登り口より、3m離れた地点)に脚側停座させる。指示により、
 指導手と犬は常歩脚側行進でシーソーの登り口に進む。指導手は登り口に止まり、犬に渡るよ
 う命じ、犬を単独で渡らせ、ほぼ中央部でシーソーが傾いたら犬を停止させる。指示により、
 指導手は犬のもとに行き、共に渡り終えて脚側停座させる。この作業を行えない場合は、この
 課目は中止とする。

6.トンネル。
 内径約60cm、長さ3m以上の直線の固形トンネルを用い、犬を通過させるものである。(トン
 ネル状のものであれば代用品でも差し支えない)
 犬を所定の位置(トンネルの入口より3m離れた地点)に脚側停座させる。指示により、指導
 手と犬は常歩脚側行進でトンネルの入口に進む。指導手は入口に止まり、犬に通過するよう命
 じ、犬はトンネルを通過する。通過し終えたら、指示により、犬のもとに行き、脚側停座させ
 る。この作業を行えない場合は、この課目は中止とする。

7.瓦礫歩行。
 広さ約2㎡の広さに板金、金属片、金網、ブロック、木、その他を放置する。犬を所定の位置
 (瓦礫の入り口より3m離れた地点)に脚側停座させる。指示により、犬と指導手は脚側行進
 で瓦礫の上を往復歩き、復路にて、途中命令なく犬は、瓦礫の中で脚側停座する。その後、指
 示により、再度行進を行い、所定の位置に戻り、脚側停座させる。この作業を行えない場合は、
 この課目は中止とする。

8.休止及び銃声確固性。
 指示された位置で脚側停座させる。指示により、犬に休止(腰を横にくずした伏せの姿勢)を
 命じて、指導手は指示された場所に隠れる。約3分経過後、銃声確固性テスト(銃声2発)を
 行う。休止開始から約5分経過後、指示により、犬のもとへ戻り、指示により、指導手は犬を
 脚側停座させる。休止位置から約3m移動した場合は、この課目は中止とする。銃声で逸走し
 た場合は、失格とする。

(3)実地作業課目の実施要領。
 実地作業は審査員の評価公評で終了する。

1.瓦礫捜索。
 指導手と犬は、指定された捜索エリア内の捜索を行い、潜伏している擬似遭難者を正確に全員
 告知することを目的とする。なお、告知は『吠える』行為のみとし、その他の行為は認められ
 ない。
 指導手と犬は、審査員の指示により、指導手の歩行エリア内から捜索を開始する。この際、首
 輪や引き綱を付けたまま捜索を開始した場合は、その時点で捜索を中止する。捜索場所の指定
 は一切なく、捜索は犬の自主性、積極性、捜索意欲を重んじることとし、捜索エリア内を犬が
 単独で捜索することが最も良い。指導手は歩行エリア外に出てはならない。
 犬が告知した場合は、指導手は審査員に申告し、審査員の指示により、
 指導手は告知箇所に行く。(この際、犬に触れて軽く褒めたり、給水させることができる。)告
 知は、擬似遭難者に近いほど良い。犬の再発進は、審査員が指示する歩行エリアに戻って
 から行う。
 擬似遭難者数は3人以上とし、当日発表する。捜索の制限時間は10分~15分以内で
 設定し、当日発表する。捜索は、制限時間内であれば何度でも同じ場所を捜索できる。
 ただし、擬似遭難者の早期発見・告知を理想とする。擬似遭難者を全員発見した時点において、
 指導手の終了申告がなされた時、当該課目を終了する。
 犬の捜索意欲が無い場合は、審査員の判断により捜索を中止する。捜索全般において、過度の
 告知の誘導及びコントロール不能は、審査員の判断により捜索を中止する。

2.作業中、次の誘惑要因を起用する。
 ①発炎筒。
 ②音響機器による騒音。
 ③捜索エリアにおける誘惑者。






(認定試験B及び競技大会 競技B)

第4条 認定試験B並びに競技Bにおける課目の種類と実施要領は、FCIが定める国際救助犬試験規程
 に準じて実施することとし、次のとおりとする。

(1)試験課目の種類。

<服従作業課目・熟練作業課目>
1.紐無し脚側行進。
2.常歩行進中の停座及び伏臥並びに立止を伴う招呼。
3.移送と受け渡し。
4.平面物品持来。
5.可動式バレルブリッジ。
6.水平梯子渡り。
7.高さ1.8mの板壁登攀(片道)。
8.トンネル6
9.遠隔操作による方向変換。
10.休止。

<実地作業課目>
1.瓦礫捜索。
(1)擬似遭難者の正確な発見(3名以上)。
(2)犬の自主性及び捜索態度。
(3)犬の環境への順応性。
(4)指導手の適切な捜索態度。

(2)服従作業課目の実施要領。
 服従作業は審査員の評価公評で終了する。

1.紐無し脚側行進。
 行進開始及び歩度変更時においては、一回の声符、視符の使用又は双方の兼用が認められる。
 犬は、基本姿勢から指導手を注意深く、はきはきとして、指導手の左側を行進しなければなら
 ない。指導手は、指示により、常歩で50歩前進し「反転ターン」をし、更に10~ 15歩進んだ後
 「速歩」及び「緩歩」をそれぞれ最低10歩続けて行なう。「速歩」から「緩歩」への歩度変換
 の際には、減速歩数を使用せず直接行なわなければならない。
 そして、常歩で数歩前進し、歩度変換せずに一回目の「方向変換」を行い、25~ 30歩そのまま
 進み、二回目の「方向変換」を行い、20~ 30歩進み「反転ターン」を行い、更に10~ 15歩進み
 指示無し脚側停座をさせる。指示により、続いて10~ 15歩進み「方向変換」を行い、出発点に
  向かって20~ 25歩常歩で進み、指示無し脚側停座をさせる。指示により、最低4名で構成され
 た、時計回りで円を描きながら動いている群集(2名の群集構成員は、各々紐付で牡又は牝の
 犬を連れている。)に、常歩にて反時計回りで群集の外側を通過する。(この時、群集構成員が
 連れている犬と直接遭遇するように通過する。)その後、指導手は所定の位置で指示無し脚側
 停座をし、群集構成員の1名が静止中の指導手の横を通過する。指示により、指導手は犬と共
 に常歩で群集の周りを8の字を描くように行進し、群集内で指示無し脚側停座をし、指示によ
 り、常歩で群集から離れ、所定の位置で、指導手は声符又は視符で犬を脚側停座させ、基本姿
 勢を取る。
 紐無し脚側行進中に誘惑行為として、2発の銃声(6~ 9ミリロ径)とエンジン音が放たれる。




2.常歩行進中の停座及び伏臥並びに立止を伴う招呼。(声符又は視符)
 指示により、指導手と犬は、基本姿勢から常歩にて脚側行進で前進し、10~ 15歩進んだ後に指
 導手の命令で犬は迅速に停座する。この際、指導手は歩度変換せず、後ろを振り返ることなく
 更に40歩進み、停止して犬の方に向き返る。指示により、指導手は犬を招呼する。犬が約半分
 の距離に到達次第指導手は犬を伏臥させ、指示により、指導手は犬を立止させ、新たな指示に
 より、指導手は犬を招呼し、正面停座させ、指示により、指導手は犬を脚側停座させ、基本姿
 勢を取る。

3.移送と受け渡し(声符又は視符)
 指導手と犬は、所定の位置で基本姿勢を取る。基本姿勢から、指導手が犬を抱き上げるため、
 容易な体勢を取らせる声符又は視符の使用は認められる。指示により、犬は地面又は高い位置
 (例えばテーブル)から指導手によって抱き上げられ、約10m離れた地点まで運ばれ、第三者
 に直接渡され、更に約10m運ばれた後に地面に降ろされる。指示により、指導手は犬を招呼し、
 正面停座させ、指示により、指導手は、犬を脚側停座させ基本姿勢を取る。犬は指導手や第三
 者に対して怯える又は攻撃的な態度に出てはならない。移動中は、犬が尾を自由に動かせるよ
 うに配慮すべきである。第三者は、主催者が用意した者とする。





4.平面物品持来(ダンベル・ボールを除く、審査員が認めた物品)(声符又は視符)
 指示により、指導手は、基本姿勢から所持している携帯品を約10m離れたところへ投げる。物
 品が完全に静止してから、指示により、指導手は犬に物品を持来させる。犬は物品の元へと目
 的意識を持ちながら走り、物品を咥え上げ、指導手の元へ持来しなければならない。犬は物品
 を咥えたまま正面停座を行い、指示により、指導手は少し間を空け、声符で物品を取り上げる。
 指示により、指導手は犬を脚側停座させ、基本姿勢を取る。

5.可動式バレルブリッジ
 障害物:長さ約4m× 幅約30cmの木板の下に直径約40cmの樽2個使用。指示により、指導手
 の声符、視符又は双方の兼用で犬はバレルブリッジに飛び乗り、指導手の止まれを促す声符で、
 犬は即座に進行方向を向いた状態で静止しなければならない。指示により、指導手は犬が静止
 している位置まで進み、歩行再開を促す声符で犬と共に並行歩行し、バレルブリッジの最後ま
 で渡り終えたら、犬は自発的にバレルブリッジの先端で静止しなければならない。指示により、
 指導手は犬に歩行再開を促す声符又は視符で犬は自ら飛び降り、共にバレルブリッジの数歩先
 の地点まで進み、指導手は声符又は視符で犬を脚側停座させ基本姿勢を取る。指導手は、犬
 や器具に触れることは禁止されている。



6.水平梯子渡り
 障害物:高さ約50cmの二本の支柱によって支えられる、全長約4m× 幅約50cmの固定式木製
 梯子を使用。桟の間隔は30cm(小型犬15cm)、桟の幅は5 cm。梯子への登板用梯子を設置。指
 導手と犬は、梯子から適度に離れた位置で基本姿勢を取る。指示により、指導手は声符、視符
 又は双方の兼用で犬を登坂用梯子を経て、梯子の上を最終桟まで渡らせる。犬が最初の桟に前
 肢を掛けた時、指導手は犬の横に歩み寄り、犬又は梯子に触れることなく共に前進する。犬が
 梯子の最終桟に達した後、指導手は犬を抱え地上に降ろし、声符又は視符で脚側停座をさせ、
 基本姿勢を取る。



7.高さ1.8mの板壁登攀(片道)
 障害物:高さ1.8m板壁を使用。(小型犬の場合は、高さ1mとする。)
 指導手と犬は、板壁から適度に離れた位置で基本姿勢を取る。
 指示により、指導手は声符、視符又は双方の兼用で犬に板壁を登攀させる。犬が板壁を飛越し
 たら、指導手は静止を促す声符を命じ、犬を立止状態で静止させる。指示により、指導手は常
 歩で犬の左側から後方を通り犬の元に行き、声符又は視符で脚側停座させ、基本姿勢を取る。

8.トンネル
 障害物:入口部分は長さ約3m内径50cmの固定式とし、続く部分は長さ3mの柔らかい材質
 (繊維)部分からなる。指導手と犬は、板壁から適度に離れた位置で基本姿勢を取る。指示に
 より、指導手は声符、視符又は双方の兼用で犬にトンネルを通過させ、犬がトンネルを潜り抜
 けたら、指導手は静止を促す声符を命じ、犬を立止状態で静止させる。指示により、指導手は
 常歩で犬の左側から後方を通り犬の元に行き、声符又は視符で脚側停座させ、基本姿勢を取る。

9.遠隔操作による方向変換
 設置器具:高さ60cmまで(小型犬の場合は、高さ40cmまでとする。)の台状のものを使用。
 器具間の距離は約40mとする。三つの設置器具に向かわせる順番は、くじ引きで決定する。
 指導手と犬は、出発地点において基本姿勢を取る。指示により、指導手は位置を変えずに、
 犬をマーキング地点(明白に標された地点)へ向かわせる為の声符及び視符で約20m離れた
 マーキング地点へ向かわせる。犬がマーキング地点に到達次第、静止を促す声符で静止させる。
 指示により、指導手は位置を変えずに、犬を設置器具へ向かわせる為の声符及び視符で、
 第一器具に向かわせる。第一器具に到達次第、設置器具に飛び乗らせる声符と静止させる
 声符で犬を設置器具に飛び乗らせ静止待機させる。指導手は同じ要領で、犬を第二設置器具、
 第三設置器具に向かわせ、それぞれ飛び乗らせ静止待機させる。第三設置器具への遠隔操作
 作業が終了した後に、指示により、指導手は声符又は視符で犬を招呼し、正面停座させ、
 声符又は視符で脚側停座させ、基本姿勢を取る。

10.休止
 他の犬の服従作業開始前に、指導手は、指示により、所定の場所に声符、視符又は双方の兼用
 で犬を休止させる。指示により、少なくとも40歩犬から離れ、視野内にて待機する。犬は指導
 手による如何なる影響無しで、他の犬が第4競技課目を終了するまで、静かに休止していなけ
 ればならない。第4競技課目が終了次第、指示により、指導手は常歩で犬の左側から後方を通
 り犬の元に行き、犬の右側で静止する。指示により、指導手は声符又は視符で脚側停座させ、
 基本姿勢を取る。

(3)実地作業課目の実施要領

 実地作業は審査員の評価公評で終了する。

1.瓦礫捜索
 指導手と犬は、指定された捜索エリア内の捜索を行い、潜伏している擬似遭難者を正確に全員
 告知することを目的とする。なお、告知は『吠える』行為のみとし、その他の行為は認められ
 ない。
 指導手と犬は、審査員の指示により、指導手の歩行エリア内から捜索を開始する。この際、首
 輪や引き綱を付けたまま捜索を開始した場合は、その時点で捜索を中止する。捜索エリア内は、
 犬が単独で捜索する。指導手は歩行エリア外に出てはならない。犬が告知した場合は、指導手
 は審査員に申告し、審査員の指示により、指導手は告知箇所に行く。(この際、犬に触れて軽
 く褒めたり、給水させることができる。)告知は、擬似遭難者に近いほど良い。犬の再発進は、
 歩行エリアに戻ってからできる。擬似遭難者数は3名以上とし、当日発表する。捜索の制限時
 間は10分~15分とする。捜索は、制限時間内であれば何度でも同じ場所を捜索できる。ただし、
 擬似遭難者の早期発見・告知を理想とする。擬似遭難者全員を発見した時点において、指導手
 の終了申告がなされた時、当該課目を終了する。
 犬の捜索意欲が無い場合は、審査員の判断により捜索を中止する。捜索全般において、過度の
 告知の誘導及びコントロール不能は、審査員の判断により捜索を中止する。

2.作業中、次の誘惑要因を起用する。
①発炎筒
②音響機器による騒音
③捜索エリアにおける誘惑者






第3章障害

(障害の寸法)
 第6条 認定試験及び競技における障害の寸法を次のとおりとする。

(1)認定試験A(競技A-1)。
1.渡橋。
 板の長さは、大型犬・小型犬ともに2m以上、幅30cm、高さ90cm以上とする。
2.シーソー。
 板の長さは、大型犬・小型犬ともに3m以上、幅30cm、高さ45cmとする。
3.トンネル。
 大型犬・小型犬ともに長さ3m以上、内径60cmとする。

(2)認定試験B(競技B)。
1.梯子
 梯子の長さは、大型犬・小型犬ともに4m幅50cmとする。踏み板の間隔は、大型犬30cm、小型
 犬15cmとする。桟の幅は、5 cmとする。
2.遠隔操作による方向変換
 設置器具の高さは60cmまでとする。
3.トンネル
 固定式部分の長さは、大型犬・小型犬ともに4m、内径は60cmとする。柔らかい材質部分の長
 さは、大型犬・小型犬ともに3.5mとする。
4.バレルブリッジ
 板の長さは、大型犬・小型犬ともに4m、幅は30cmとする。樽の直径は40cmとする。
5.板壁
 大型犬・小型犬ともに、長さ1.91m幅1.5mで上部端面が接続された板とする。設置したとき
 に、実質の高さが1.8mに設定されるように傾斜をつける。板の上部(登攀部分)に、登攀を
 補助する3本の角材を取り付ける。

第4章雑則

第7条 この規程の改廃は、必要に応じて中央災害救助犬委員会に諮問し、その答申を経て、理事会の議
 決によって行う。

付則
この規程は、2006年4月1日より施行する。
改正 2009年1月29日
改正 2010年11月25日
改正 2013年3月25日